😘遺留分の侵害とは
遺留分を侵害されている相続人は、遺留分を侵害している他の相続人あるいは受遺者や受贈者に対してその侵害額を請求することができる、というものです。
これを遺留分侵害額請求権といいます。
遺留分が侵害されている者は、遺留分の請求しなければ、遺贈などを受けた者がそのまま財産を取得する ことになりますので、明確な意思表示が必要になります。
では、遺留分とは何を言うのでしょうか。
被相続人(=亡くなった方)は、遺言書によって相続財産を自由に相続させることが出来ます。
しかし、民法は、遺留分という相続人が取得できる最低限の相続財産に対する割合を決めております。
遺留分によって、相続人は最低限の相続財産を確保することができるのです。
その割合は、下記となります。
①.配偶者・直系卑属のどちらか一方でもいる場合は、相続財産の2分の1
②.直系尊属だけの場合は、相続財産の3分の1
③.兄弟姉妹だけの場合、遺留分はありません。
①で具体例を見ていきましょう。
亡くなられたA氏には、妻と3人の子供がいます。
妻の法定相続割合は2分の1、子の法定相続割合は2分の1×3分の1(子の人数)=6分の1です。
したがって、遺留分は、
妻は法定相続割合の2分の1、すなわち2分の1×2分の1=4分の1となります。
子は法定相続割合の2分の1、すなわち6分の1×2分の1=12分の1となります。
遺留分侵害額請求権の行使方法は、特に裁判上の手続きは不要であり、相手方に対して減殺請求するという意思が伝わればよいということになっています。
通常は内容証明郵便で寄ることが多いです。
ただし、注意しなければいけないことは、遺留分の減殺請求権は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年間行使しないときには事項によって消滅します。
また、相続開始から10年経過した場合も行使できません。
なお、相続法改正により、遺留分を侵害されている人が、遺留分を侵害している人に対して、侵害している遺留分の額(侵害額)に相当する金銭の支払いを請求できるようなりました。
😁どのような対応策があるの?
相続人のうち、遺留分を侵害している側も、侵害されている側も、請求権の内容と請求期限をきちんと知っている必要があります。
とはいえ、遺留分の侵害うんぬんというのは、そもそも相続人間でもめている場合に出てくる話なわけです。
ではいかに対策すればいいのでしょうか。
対策はそれぞれの相続の内容によっていろいろでしょうが、下記のような事例でお話ししてみたいと思います。
登場するのは坂田さん(仮名)という方で、将来の自分の相続で家族がもめるのではないかという心配を抱いている方です。
坂田さんは、社員が50名ほどの中小企業の社長さんで1代で会社を興した方です。
坂田さんには奥様と会社の後継者である息子さんと既に結婚されている娘さんがいます。
坂田さんの財産は、中小企業の非上場株式5億円相当とご自宅5千万円相当と現金2億円が主たるものです。
財産分けについては、自社株式と納税資金の一部を息子に、自宅と老後の生活費を妻に、と考えており、娘さんにはせいぜい5千万円程度にしかならないため、息子に対して遺留分侵害額請求をするのではないかと心配しています。(娘さんの遺留分は7億5千万円×1/8=93,750千円)
いろいろとお話を伺っていると、娘さんは現在のアパート住まいから戸建て住宅の購入を希望していること、子供が3人いて教育費の心配もあることなどがわかりました。
そのため、相続による将来のお金よりも現在のお金の方が喜ばれるかもしれないという考えに至りました。
そこで、住宅取得等資金贈与の非課税の特例や教育資金の一括贈与の特例などを利用して資金支援をする代わりに遺留分の放棄をしてもらったうえで遺言書を作成することを進言しました。
坂田さんが娘さんにお話ししてみると、娘さんは大変喜んで、遺留分の放棄に応じてくれたとのことでした。
この事例のように、相続財産が非上場株式や不動産などが大部分の方は、どうしても後継ぎの方に相続財産が偏ってしまう傾向があります。
その場合、遺留分侵害額請求の心配が生じる可能性が高いため、生前の対策が必要になります。
これに該当する方は是非とも税理士に相談していただくことをお勧めします。
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