事例紹介

CASE

失敗事例① 
毎年コツコツ贈与していたのに名義預金と認定された

私の父はアパート経営をする資産家で、私たち2人の娘と3人の孫のために毎年コツコツと贈与をしてくれていました。先日父が亡くなり、父の貸金庫の中から私たち名義の通帳と孫名義の通帳が出てきました。これらの通帳は、父から私たちへの贈与であり、父名義の通帳ではないため、父の相続財産として計上せずに相続税の申告をしました。生前贈与のお陰で相続税の負担が減り、私たちは父に大変感謝しました。しかしその後、税務署の調査があり、子供と孫名義の預金が名義預金であると指摘されてしまい、相続税を追加で払うことになりました。


贈与の実態がなければ、名義を変更したに過ぎません。贈与する際のポイントは以下のとおりです。


  1. 贈与をする側と受ける側が意思表示をしている
  2. 贈与契約書が作成されている
  3. 贈与口座の通帳と印鑑は、贈与を受けたものが管理・保管している(贈与者と受贈者は同一の印鑑を使用しない)
  4. 振込み等によって実際のお金の移動が記録されている

税務署は、被相続人の名義口座のほか、その配偶者や子供、さらには孫名義の預金について、残高と過去5年程度の預金の動きを確認しています。収入のない配偶者の多額の預金は、生前の贈与なのか、名義預金なのか、その源泉は何か、説明が求められます。税務調査時には、通帳・証券・印鑑の確認が求められ、特に印鑑は、被相続人口座の印鑑と、家族名義の口座の印鑑が同じ場合、名義預金の可能性が高くなるため、家族名義の預金に使われている印鑑も全て確認されます。これらに留意して、名義預金と指摘されないようにしましょう。

失敗事例② 
暦年贈与の基礎控除額110万円にこだわりすぎた

今年亡くなった私の父は会社役員であったので、相続財産はそれなりにありました。そのため、私たち二人の兄弟に生前より110万円の範囲内で贈与をしてくれました。贈与契約書を作成して、毎年私たちの預金口座に振り込んでくれました。しかし、贈与を始めてから10年目でなくなってしまったので、相続財産が22百万円減少しただけで、相続財産の1割にも足りませんでした。


ここでのポイントは、基礎控除額にこだわらず、贈与を活用した積極的なプランニングが必要であるということです。


  1. 財産額の現状把握を行う
  2. 生前贈与する財産額が相続税の負担率の範囲内に収まる分岐点を計算する
  3. 分岐点以下であれば、毎年の贈与税を納税してでも贈与を実行する

生前の対策もぜひ当事務所へご相談ください。

失敗事例③ 
遠方の預金口座の存在を知らなかった

亡くなった父はサラリーマンで、転勤が多く、退職前は札幌に5年間、大阪に4年間単身赴任していました。父の相続財産は、自宅の土地・建物と預金と有価証券が主たるものでした。母はすでに他界しており、相続人は私1人なので、遺言書は作成していませんでした。期限内に申告と納税を済ますことができ、もうすっかり相続税のことも忘れかけていたころ、突然税務署から税務調査の連絡があり、札幌と大阪の地元の銀行の預金口座の計上漏れを指摘されて、修正申告を行うことになってしまいました。


サラリーマンで転勤が多かった方によく見られるケースです。給与振込や光熱費などの引き落としを便利にするために、赴任先の近くで口座を開設して、そのままになっているということがよくあります。解約を忘れただけで他意はなくても、税務調査上は預金隠しにつながるものになるので、必ずマークされます。預金口座や不動産の数が多い方は、生前に棚卸を行なって記録に残しておくとともに、使っていない預金口座は解約してしまうなどの対応をする必要があります。税務調査では、被相続人の学歴や職歴、役職、転勤、転職の有無などが質問され、収入と財産のバランスが取れているか、住所地以外に預金や不動産が存在しないかの確認が行われます。

失敗事例④ 
不動産を安易に共有名義にしてしまった

父が10年ほど前に亡くなった際、父は遺言書を作成していなかったため、私達兄弟3人と母で相談しながら遺産分割を行いました。不動産がたくさんあったことやそれぞれの賃貸物件の収益性がバラバラだったため、法定相続割合で「共有」取得することとし、平等な相続を行うことができました。ある日、三男である弟が子供の海外留学のためにまとまった資金が必要なため、一部不動産を売却したいと言ってきました。しかし、次男は手放したくないと言います。そんな折、物忘れがひどくなった母に認知症の診断がなされ、ますます不動産の売却が困難な状況になってしまいました。


不動産を共有名義にするときっちり平等に相続することはできますが、その後の売却時には全員の同意が必要なため、一人でも反対すれば売却することができません。共有者が認知症になってしまった場合には、売却はさらに困難になります。また、大規模修繕をする場合には、持分に応じて各自コストを負担する必要がありますが、払えない共有者がいれば、誰かが立て替える必要が出てきます。親と子1人との間の共有であれば、次の相続で単有名義にすることができますが、兄弟間の共有では、兄弟の相続によって関係者がどんどん増えていくので、早めの対応が必要です。(分筆や等価交換など)

失敗事例⑤ 
相続対策に使える贈与特例を知らなかった

私の父は長男で先代からの財産を受け継いできましたが、普通のサラリーマンだったので税理士とのかかわり合いもなく、特に相続対策をすることなしに昨年他界しました。相続税申告の必要があると思い税理士に相談したところ、びっくりするほどの相続税の金額を告げられました。また、よくよく聞けば、子や孫への住宅資金の贈与や母への居住用不動産の贈与の特例など、生前に利用できた相続対策があることを知りました。


相続税は税額が多額になることもあるため、事前の対策が重要です。気軽に税理士に相談してみることをおすすめします。まずは預金や不動産の棚卸など、財産の現状把握を行ってください。相続税シミュレーションを行い、納税資金がどれくらい必要なのかを確認しましょう。節税のための対策、もめないための対策を行う必要があります。ご自身が考える相続のことを残される方に知ってもらうために、エンディングノートを作成してみましょう。相続が「争族」になる心配があるならば、遺言書も作成しましょう。また、税理士にも相続に強い税理士とそうでない税理士がいます。相続税の計算は複雑なため、経験豊富な税理士にご相談ください。

お問い合わせ

Contact

ご相談・お見積りは無料です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

Zoomなどwebでのご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
土日祝日もご対応します。平日はお仕事で時間がとれない方は事前にご連絡いただければ土日祝日についてもご対応致します。

0120-171-157 受付時間 8:45 ~ 17:45(土日祝休)
メールでのお問い合わせはこちら
Page Top
お電話はこちら お問い合わせ